杏は漢方薬としてお肌のトラブルのケアに中国では古代から重宝されてきました。
杏はもともと実を食べるというよりは生薬として利用されることの多い
植物でした。というのも多くの杏は酸味が強く生食に向かなかったから
です。生で食べることは少なくても干しあんず、杏ジャム、杏酒として
は利用されていました。
杏林製薬や杏林大学という医学部の大学があるように杏には多くの薬効
成分が含まれています。また、中国ではかつて医者のことを杏仁と呼ん
でいました。このように杏仁は薬や医療と密接に繋がった物質なのです。
杏の仁(種の核の部分)には薬効があると同時に微量ですがシアン化合
物が含まれています。種にシアン化合物が含まれる植物は杏以外にも梅
や桃などがあります。また、アーモンドなどは品種によっては致死量に
達するシアン化合物が含まれているものもあるので注意が必要です。
杏の種の核である杏仁を絞って作る杏仁オイルには脂肪酸が豊富でβカ
ロテンを多く含んでいます。βカロテンは体内で必要な分だけビタミンA
の作用をします。ビタミンAの過剰摂取には副作用がありますがβカロテ
ンにはほとんどないので安心です。
βカロテンには粘膜を正常に保つ作用、抗酸化作用などがあります。ま
た、乾燥肌や花粉症にも良いとされています。βカロテンが不足すると
夜盲症(鳥目)になる危険があります。
杏仁オイルは中国では古くから肌トラブルをケアする漢方薬として使わ
れていました。成分としてはオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、パルミトレイン酸が含まれています。大半がオレイン酸
で約70%で約25%がリノール酸で他の成分は微量です。
杏仁オイルは化粧品としても様々の用途で使われています。石鹸、クリ
ーム、ローション、シャンプー、リンス等に使われています。